サーモンを守る
かつては、アラスカから南カリフォルニアまでほぼすべての流域を埋め尽くすほどの迫力で回遊していた天然サーモンですが、産業開発、資源の採取、ダム建設、農業が盛んになった150年の間にその回遊の規模は大幅に縮小されてしまいました。ごく最近では、孵化場の建設、スプロール現象、車の排気ガス、そして除草剤までもが、現存するサーモンの個体減少の原因になっています。
現代の水産業であるサーモン漁獲は、漁獲そのものに一連の問題があります。沖合には、何百という流域からやってきたサーモンが混在し、それぞれの回遊ルートに沿って移動します。外洋での商業漁業は、漁獲した魚の本来の産地を知ることが難しくなります。持続可能な個体数を目標とする一方で、実際の漁業では、個体数が危機に瀕している魚まで含んでしまいます。
大きな河川で行う刺し網漁は、そこに引っかかってしまった大半の魚が死んでしまい、安定した個体数の魚と、生き残りに苦戦している魚とを見分けることもできません。例えば、ソッカイ・サーモンやピンク・サーモンが豊富な川で、それらを漁獲しようとしているにもかかわらず、危機に瀕したギンザケやチヌークサケ、スチールヘッドを許容範囲を超えて大量に混獲して殺してしまうことがよくあります。
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米国沿岸の開水域で行う網の生けすを使ったサーモン養殖は、農薬、廃棄物、寄生生物で海を汚染し、近くを回遊する天然魚に深刻な被害をもたらしています。こうした養殖場で育った魚には、灰色の身を新鮮に見せるために大量の着色料が必要で、また抗生物質、濃度の高いポリ塩化ビフィニル(PCB)などの化学薬品を常に使用しています。
幸いなことに、サーモン界には明るい材料があります。まだ特定の流域には、天然サーモンが豊富に回遊しているところがあり、選り抜きの漁獲法に立ち返ることで、対象となる豊富に存在する種の魚を漁獲することができます。パタゴニア プロビジョンズでは、そのような厳選された漁場でのみ獲れたサーモンを取り扱っており、獲ったサーモンを隅々まで利用するようにしています。例えば、美味しいけれど剥がすのが難しい魚の背骨に沿った身から作ったサーモンジャーキーのレシピを考えたり、通常は加工中に廃棄されるサーモンのあらを使ったヘルシーなペット用おやつの作り方を研究したりしています。
水産業界におけるパタゴニア プロビジョンズの存在が一層大きくなることで、天然サーモンに直接的に影響する保護活動をサポートし、広めていくことができると思っています。現在、当社はブリストル湾のペブルマイン(露天掘り採掘鉱山)、カナダのブリティッシュコロンビア州のエンブリッジ社による石油パイプラインを阻止する取り組みに参加しています。以前は、ワシントン州のエルワダムの撤去を支援しました。さらに、米国のスネーク川、クラマス川などの川を破壊するダムの撤去要求を続行しており、魚の生息環境を守り、孵化場を閉鎖して商業漁業に変えようと取り組んでいる複数の団体のサポートも行っています。
おかしな話だと思うかもしれませんが、天然サーモンを的確な数、的確な場所で獲り、食べることがサーモンを救うことに繋がるのです。ぜひ、パタゴニア プロビジョンズへ賛同いただければ幸いです。