リジェネラティブ・オーガニック
カンファレンス 2023
解決策としての農業をともに考える
2023年4月13日に開催しました本イベントは、好評のうち終了いたしました。大変多くの皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
国内初となる『リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス 2023』を開催します。リジェネラティブ・オーガニックを1つの指針として、「解決策としての農業」についての議論を国内に広げ深めていく機会にしたいと考えています。
皆さまのご参加をお待ちしております。
開催概要
■ 日時:
4/13(木) 10:00〜16:00
■ 参加費:無料 ※要参加申込
■ 参加方法:オンライン視聴
※参加申込者に限り、後日、期間限定のアーカイブ配信を予定
■ 申込締切:4/10(月)18:00まで
■ 主催:パタゴニア日本支社
■ 協賛:ドクターブロナー
※ 申込完了後に自動返信のメールが届かない場合には、迷惑メールフォルダに入っていないかご確認ください。受信されていない場合は、再度メールアドレスをご確認いただき、ご登録いただきますようお願いします。
※ 申込いただいたアドレス宛に、イベント前日までにオンライン視聴用の参加URLをご案内します。
開催趣旨
気候変動や生物多様性の消失は、現代において、もっとも深刻な環境危機です。その最大の原因の1つは、私たちのフードシステムにあります。農業は人類にとって必要不可欠ですが、私たちの故郷である地球を救うためには、現状の農業システムには転換が必要です。
その解決策として、私たちは「リジェネラティブ・オーガニック」を推進しています。全体論的システムである「リジェネラティブ・オーガニック」は、地球、人間、動物の健康が安全な状態は相互に関連すると考え、 土壌の健康・動物福祉・社会的公平性の3つの柱で構成されています。健全な土壌を構築することによって炭素を固定しながら土壌の機能を高め、環境を再生することができます。そして、健全な生態系とコミュニティを築きます。
今回、日本において「リジェネラティブ・オーガニック」をテーマにした初めてのカンファレンスを開催します。基調講演にはリジェネラティブ・オーガニック・アライアンスの代表を招き、創設から推進を進めているドクターブロナー、パタゴニアから取り組みを紹介。そして、日本の気候風土に適したリジェネラティブ・オーガニック農法の可能性と課題を整理するために国内の著名な専門家に講演いただきます。解決策としての農業についての議論を国内に広げ深めていくために、みなさまとともに社会的土壌を築いていく機会とします。
アウトドア企業のパタゴニアは「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションステートメントに掲げ、1996 年に製品に使用するコットンをすべてオーガニックコットンに切り替えました。2016 年には食の流れを修復するために、責任ある方法で調達された食のコレクション「パタゴニア プロビジョンズ」を日本で開始。2017 年に複数のブランドと協同で「リジェネラティブ・オーガニック認証」を制定し、2021 年から国内でリジェネラティブ・オーガニックの取り組みを進めています。
タイムスケジュール
9:30 | 開場 | |
10:00 | 開会挨拶 | パタゴニア日本支社 マーティ・ポンフレー |
10:10〜11:10 | 基調講演 | リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス エリザベス・ウィットロー |
11:10〜11:40 | リジェネラティブ・オーガニックの取り組み | ドクターブロナー ゲロ・レソン パタゴニア日本支社 近藤勝宏 |
11:50〜12:20 | 講演 | 「地球と食料の未来のためにフードシステムと日本にできること」 国際農林水産業研究センター 飯山みゆき |
12:20〜13:20 | 昼食休憩 | |
13:20〜13:50 | 講演 | 「日本の農地景観の特徴と生物多様性の活用」 東京大学 宮下直 |
13:50〜14:20 | 講演 | 「長期の不耕起畑作試験によってわかってきた日本での可能性と課題」 茨城大学 小松﨑将一 |
14:20〜14:50 | 講演 | 「日本の気候風土に適したリジェネラティブ・オーガニック農法とは」 福島大学 金子信博 |
15:00〜16:00 | パネルディスカッション | モデレーター:飯山みゆき パネリスト:エリザベス・ウィットロー、宮下直、小松﨑将一、金子信博 |
16:00 | 閉会 |
※同時通訳サービスを利用
※詳細を調整中のため、内容に変更の可能性があることをご了承ください。
登壇者プロフィール
エリザベス・ウィットロー
〈リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス〉エグゼクティブディレクター
エリザベスは1990 年代に工業的農業による有害な慣行と、繫栄するフードシステムの構築が持つパワーに触れて以来、地球の生きた表土を再生させることを使命としています。農業のより深い制度的な政策を検証し、全体論的な取り組みを行なう農業者の功績が報いられるプログラムを提唱する、そのような彼女の長い旅がこうして始まりました。現在、エリザベスはリジェネラティブ・オーガニック・アライアンスのエグゼクティブディレクターとして、革新的な認証プログラムであるリジェネラティブ・オーガニック認証を監督しています。
「リジェネラティブ(再生的)」という言葉は、巨大な化学的農業にも当てはまるような、次の流行語(バズワード)になる危険に現在さらされています。そのため、エリザベスは、「リジェネラティブ」はオーガニックと本質的に結びついているということを保証する活動を先導しています。リジェネラティブ・オーガニックとは、私たちの貴重な表土を癒し、炭素を吸収し、繫栄する生態系と、地球で生き、地球に生活を頼っているすべての人々に公正さを築く農業です。
リジェネラティブ・オーガニック・アライアンスのエグゼクティブディレクターとしての彼女の役割は、25 年以上にわたるオーガニック農業分野での仕事の集大成です。彼女のキャリアは、中米での日陰栽培(シェードグロウン)でのフェアトレードかつ有機コーヒー生産者らを支援することから始まりました。以来、彼女は農耕と牧畜の両分野で高格な認証に関わる仕事を行なっており、また、〈インスティテュート・フォー・フード・アンド・ディベロップメント・ポリシー〉、〈サステナブル・ハーベスト〉、〈コーヒー・キッズ〉、〈メソアメリカン・ディベロップメント・インスティテュート〉 といった団体活動にも寄与してきました。
そして何よりも、私たち一人ひとりが必要としているこの地球に貢献できることこそが彼女の最大の誇りです。「このプロフィール情報を読むのに37秒かかったかもしれませんが、その間に、地球はサッカー場18 面分の生きた表土を失いました。私たちが生きる現代の生態学的危機の解決策は、私たちの足元に広がっているのです」
ゲロ・レソン
〈ドクターブロナー〉スペシャルオペレーション/ヴァイスプレジデント
ドイツ・ケルン生まれ。ドイツ・ケルン大学で物理学の修士号、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で環境科学・工学の博士号を取得。環境科学者、コンサルタントとして勤務後、ドクターブロナーに入社し、現在はアフリカとアジアにおけるココナッツオイル及びパームオイルの新しい生産施設の設立と運営を計画・管理している。また、フェアートレード及びオーガニック原材料調達、関連する地域開発プロジェクトを監督している。
【ドクターブロナーについて】
1948 年創業のオーガニックボディケアブランド。「人間も動物も植物も、同じ地球という名の船に乗るひとつの家族」と考え、サスティナブルな製品づくりを続けている。2018 年に原材料であるペパーミントの栽培をリジェネラティブ・オーガニックに切り替え、現在は世界7か国の原材料生産地でリジェネラティブ・オーガニックを推進。パタゴニアと共にリジェネラティブ・オーガニック認証の設立に携わり、2020 年に食用ココナッツオイルが同認証を取得した。2023 年中に全ての主要原材料がリジェネラティブ・オーガニック認証を取得することを目指している。
飯山 みゆき
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)情報プログラム プログラムディレクター(開発経済学)
2001年東京大学大学院博士課程単位取得、2008 年経済学博士。2008-2018 年World Agroforestry Centre(ケニア)にて小規模農民による自然資源管理・技術採択をめぐる社会経済研究に従事。2016年より、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に勤務、アフリカ連絡拠点研究コーディネーター(ケニア)・研究戦略室長を経て、2021年より情報プログラム プログラムディレクターを務める。
宮下 直
東京大学大学院農学生命科学研究科 教授(生態学、保全生物学)
東京大学大学院農学系研究科修了、博士(農学)。東京大学農学部助手、助教授、准教授を経て、2012 年より現職。クモの生態学、生物間相互作用、生物多様性の保全、送粉サービスなどの研究に従事。著書に、『群集生態学(2003)』、『生物多様性と生態学(2012)』、『クモの科学最前線(2015)』、『生物多様性のしくみを解く(2018)』、『生物多様性概論(2017)』、『となりの生物多様性(2016)』、『人と生態系のダイナミクス①農地・草地の歴史と未来(2019)』など、多数。2022 年より日本生態学会会長、本年より生物科学学会連合副代表を務める。
小松﨑 将一
茨城大学 教授(農業環境工学)
1964年生まれ、博士(農学)。茨城大学農学部農業工学科卒業後、茨城大学農学部附属農場助手、准教授、ノースカロライナ州立大学客員准教授を経て現職。日本農業工学会賞受賞。主な著書は、『有機農業大全ー持続可能な農の技術と思想ー』コモンズ刊。大学農場内にカバークロップと不耕起有機栽培の長期輪作圃場を設置し、農業生産性や土壌生態系の動態に関する研究に従事。
金子 信博
福島大学食農学類 教授(土壌生態学)
京都大学大学院農学研究科中退、農学博士。島根大学生物資源科学部助教授、横浜国立大学大学院環境情報研究院教授を経て、2018年から現職。土壌生物の多様性と生態系機能の関係を研究。主要な著書に、『土壌生態学入門(2007)』、『土壌生態学(編著)(2018)』、『有機農業大全(分担執筆)(2019)』。2023年4月に日本で初めてのアグロエコロジープログラムを福島大学食農科学研究科に開設。
近藤 勝宏
パタゴニア プロビジョンズ・ディレクター
1995年パタゴニア日本支社に入社。マーケティング部門のマネージャー等を経て、2016年、パタゴニアの食品事業「パタゴニア プロビジョンズ」の日本市場の責任者に就任。同年、同事業を日本市場で立ち上げ、いまに至る。日頃からサーフィンやスノーボードなどを愛好し自然と親しみながら、自然に則した農法による米作りや農業に挑戦し、より環境負荷の少ないライフスタイルを探求している。
<開会挨拶>
マーティ・ポンフレー
パタゴニア日本支社 支社長
米ミズーリ州出身。ナイキジャパンでアナリストとしてプロフェッショナルキャリアをスタートし、後にカテゴリーセールスマネージャーに就任。その後、フォッシルジャパンでオペレーションズディレクター、マネージング・ディレクターを経て、アメリカ本社で複数の副社長
ポジションを務める。2007 年以降、コンサルタントとして、また起業家として多数のビジネス開発プロジェクトに携わり、パタゴニア日本支社長に就任。
What’s next? 次は?
50周年を迎え、私たちは後ろではなく前を見て、地球で生きることを楽しみにしています。ともに、力を合わせて、利益よりも存在意義を優先し、驚くべきこの地球、私たちの唯一の故郷を守ろう。